主な原因
胎児期に心室中隔が形成される過程で何らかの異常が生じることで発症します。遺伝的素因や環境要因など複数の要因が絡み合っていると考えられており(多因子遺伝)、特定の原因を一つに絞ることはできません。
こどもの心臓病について
左右の心室(心臓の下の部屋)を隔てる壁(心室中隔)の一部に穴がある病気で、先天性心疾患のなかで最も多く、1,000出生あたり3〜4人の割合で見られます。
胎児期に心室中隔が形成される過程で何らかの異常が生じることで発症します。遺伝的素因や環境要因など複数の要因が絡み合っていると考えられており(多因子遺伝)、特定の原因を一つに絞ることはできません。
穴が小さければほぼ無症状で、健診の心雑音で発見されることが多いです。穴が大きい場合は、哺乳力が弱い・体重が増えない・すぐに息切れがするなど心不全症状が乳児期早期から現れることがあります。
心エコー検査で穴の場所・大きさ・心臓への負荷を評価します。穴が小さければ定期的な経過観察を行います。穴が大きい場合や心不全症状が続く場合は、穴をふさぐ手術(心内修復術)が必要です。手術成績は良好で、術後はほかのお子さまと同様の生活が期待できます。
左右の心房(心臓の上の部屋)を隔てる壁(心房中隔)の一部に穴がある病気で、先天性心疾患の約10%を占めます。女性にやや多い傾向があります。
心房中隔が形成される胎児期の発生過程の異常によって生じます。心室中隔欠損症と同様に、遺伝的素因や環境要因など複数の要因が関与する多因子遺伝とされています。
多くの場合、乳幼児期〜学童期はほぼ無症状です。乳幼児健診や学校心臓検診での心雑音・心電図異常をきっかけに発見されることが多い疾患です。まれに哺乳力が弱い・息切れがするなどの症状が乳児期に現れることもあります。
心エコー検査で穴の大きさや心臓・肺への負荷を確認します。穴が小さければ自然に閉じることもあるため、無症状の場合は経過観察が基本です。縮小傾向がなく負荷が明らかな場合は、カテーテル治療(閉鎖栓)または外科手術で穴をふさぎます。
胎児期に肺動脈と大動脈をつなぐ「動脈管」という血管が、生後も閉じずに残った状態です。通常は生後に自然閉鎖しますが、閉じない場合に心雑音や心不全の原因になります。
生後に肺呼吸が始まると動脈管は自然に収縮・閉鎖しますが、この過程に障害が起きることで発症すると考えられています。はっきりした原因は不明で、妊娠中の風疹ウイルス感染が高率に本症を引き起こすことが知られています。早産・低出生体重児でも多く見られます。
動脈管が細い場合は心雑音のみで無症状です。太い場合は肺への血流が増えすぎ、哺乳力が弱い・体重が増えない・すぐに息切れがするなどの心不全症状が現れることがあります。
心エコー検査で動脈管の太さや心臓への負荷を評価します。治療はカテーテル治療(コイルや閉鎖栓)または外科的閉鎖術で、年齢・体格・動脈管の状態などを考慮して選択します。他に合併症がなければ治療後の予後は良好です。
右心室の出口にある肺動脈弁が十分に開かず、血液の流れが妨げられる病気です。先天性心疾患の約10%を占め、比較的よく見られます。
肺動脈弁の弁葉(弁の扉部分)が癒合していたり、弁葉の枚数が少ないことによって弁が十分に開かなくなります。胎児期の弁の発生過程の異常によって生じますが、原因の詳細は多因子性と考えられています。
狭窄が軽い場合はほぼ無症状で、心雑音をきっかけに発見されることが多いです。中等度以上の狭窄が長期に続くと右心室への負担が増し、不整脈や心不全症状が起こることがあります。
心エコー検査で狭窄部位の確認と重症度の評価を行います。中等症以上の場合はカテーテル治療(バルーンで狭窄部を広げる)が第1選択となることが多く、生後6ヶ月以降に行われます。治療後は日常生活の制限は不要で、ほかのお子さまと同様の生活が期待できます。
①心室中隔欠損、②肺動脈狭窄、③右室肥大、④大動脈騎乗の4つの異常が同時に見られる先天性心疾患です。チアノーゼを伴う先天性心疾患のなかで最も多く、先天性心疾患の5~10%を占めます。
胎児期の心臓の流出路(出口)の形成過程に問題が生じることで発症すると考えられています。複数の遺伝子が関与しているとされており、特定の染色体異常(22q11欠失症候群など)との関連も報告されています。
肺動脈狭窄の程度によって症状が異なります。狭窄が強い場合は生後まもなく顔色が悪い(チアノーゼ)が現れます。泣いたり息んだりすることでチアノーゼが急激に悪化する「無酸素発作」が起こることもあります。狭窄が軽い場合は心雑音のみで無症状のまま乳児期を過ごすこともあります。
心エコー検査(胎児診断されるケースも増えています)で診断します。治療は外科手術(心室中隔欠損のパッチ閉鎖と肺動脈形成)が基本で、現在では乳児期から行われることが多くなっています。術後は多くの場合、日常生活に制限なく過ごせますが、長期的な定期通院が必要です。
全身に血液を送る大動脈の一部(弓部の遠位部)が生まれつき狭くなっている病気で、先天性心疾患の約5~7%を占めます。心室中隔欠損など他の心臓の病変を合併する「複合型」と、合併しない「単純型」があります。
大動脈の一部に動脈管の組織が迷入しており、生後に動脈管が収縮・閉鎖する際にその周囲の大動脈も一緒に引きつれて狭窄が生じると考えられています。
狭窄が軽い場合は心雑音や高血圧のみで無症状のこともあります。狭窄が高度な場合は、新生児期に下半身の血流が著しく低下し、哺乳力が弱い・すぐに息切れがするなどの症状や、重篤な場合はショック状態に至ることもあります。
心エコー検査で狭窄の程度や合併する心臓の異常を確認します。治療は外科手術(大動脈弓形成術)が基本ですが、カテーテル治療が行われることもあります。術後に狭窄が再発することがあるため、継続的な経過観察が必要です。
大動脈と肺動脈の出る位置が入れ替わっている病気です。正常では左心室から大動脈、右心室から肺動脈が出ていますが、この病気では逆になっているため、酸素の少ない血液が肺を経由せずに全身に送られます。2,000出生に1人の割合で、男児に多い傾向があります。
胎児期に心臓の流出路が大動脈と肺動脈に分割される過程に問題が生じることで発症すると考えられています。原因の詳細は解明されておらず、多因子性とされています。
出生直後から強い顔色が悪い(チアノーゼ)が現れます。合併する心臓の異常(心室中隔欠損・肺動脈狭窄の有無)によって症状の程度が異なりますが、いずれも早急な対応が必要な緊急度の高い疾患です。
心エコー検査(胎児診断されるケースも増えています)で確定診断します。まず薬物療法やカテーテル治療でチアノーゼを改善させ、その後に大動脈と肺動脈を本来の位置に入れ替える「大血管スイッチ術」を行います。手術成績は向上していますが、長期的な定期検診が生涯にわたって必要です。
全身の中小の血管に炎症が起こる病気で、特に心臓に血液を供給する冠動脈への影響が特徴です。日本では年間1万5千人以上が新たに診断されており、患者の約80%が4歳以下の乳幼児です。
原因はまだ完全には解明されていません。東アジア地域に多く、親子・兄弟での発症例も報告されていることから、遺伝的な体質を持つ人に何らかの感染(ウイルスや細菌など)が引き金となって発症するのではないかと考えられています。
以下の6つが主な症状です。これらのうち5つ以上が揃うと定型例とされます。
※1歳前後ではBCG接種部位が赤く腫れることも診断の参考になります。
「川崎病診断の手引き」に基づき、症状と心エコー検査などで診断します。治療は入院のうえ、大量免疫グロブリン点滴とアスピリン内服の併用療法が標準です。適切な時期に治療を行わないと、冠動脈瘤(冠動脈にこぶができる状態)が残ることがあるため、早期診断・早期治療が重要です。急性期に冠動脈病変がなければ、退院後は日常生活の制限なく過ごすことが期待できます。
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